【谷美娟の発言】  熊本県労連選出の代議員で、ローカルユニオン熊本に所属しています谷美娟(グビケン)と馮桂芹(ヒョウケイキン)といいます。外国人研修・技能実習制度の問題で、いま裁判闘争をたたかっている「中国人技能実習生訴訟」の原告として、全労連幹事会から提起されている「外国人労働者問題に関する全労連の基本的考え方」に積極的に賛成する立場で、わたしたち自身の問題を報告して、討論に参加したいと思います。  わたしは、日本で働きたいと思い、中国の派遣会社に4万元を払い、日本に来ました。4万元は、日本円で70万円くらいです。中国では、3年分以上のお金です。このお金は、親戚と親の友人に借りました。また、中国の派遣会社との契約に違反をしたら、保証人になってくれた従兄から15万元、つまり、250万円以上も払わされることになります。  2006年の4月、私は、フェリーで下関に着きました。到着すると、すぐに会社の社長からパスポートと印鑑を取りあげられ、車で天草の工場まで連れて行かれ、その日のタ方6時から夜の9時まで仕事をさせられました。私は、長時間の移動でフラフラでしたが、断ることはできませんでした。  わたしたちの仕事は、ワコールの女性用下着の縫製です。中国で社長から面接を受けたときには、働くのは午前8時半から午後5時半までと聞いていたのですが、実際には夜10時頃まで、遅いときには夜中の3時まで働かされました。厳しいノルマが終わらないと、社長が怖い顔で、テーブルを叩きながら、「ノルマは多くない」「バカ」などと怒鳴るので、仕事をやめることはできませんでした。休みは、月に1回くらいで、自由に外出することもできまぜんでした。  こんなに働いても、給料は月に6万円で、残業代は時給300円しか出まぜん。給料は、来日してすぐ、社長に銀行に連れて行かれて作らされた銀行の通帳に貯金させられ、印鑑と一緒に社長がずっと管理していました。社長は、この通帳と印鑑を使って、私の給料を使い込んでいました。  寮は、1部屋に12人でした。お風呂は1人用で、12人で交代で入っていました。ゆっくり眠ることもできず、仕事の疲れがたまって、とても辛かったです。  協同組合の人や理事長からは、「あなたたちの要求が、日本人と同じなら、中国人を使う必要なかったじゃない」などと言われ、とてもショックを受けました。会社や協同組合は、私たちの尊厳を踏みにじっています。絶対に許せません。  わたしたちはローカルユニオン熊本に加盟し、裁判に訴えました。わたしたちは、希望をもって日本に来たのに、こんなに辛い目にあわせられるとは思ってもいませんでした。わたしは、わたしたちを3年間、奴隷のように働かせるこの制度は、すぐにやめてほしいと思います。  わたしたちは、いま、やさしい日本の人たちに支えられて生活しています。そんな日本の人たちといっしょに楽しく仕事ができる日が、一日も早く来ることを、心から望んでいます。全労連が今回、提起された「多民族・多文化共生の社会」を、少しでも早く実現してほしいと思います。今日は発言の機会を与えていただき、ありがとうございま した。